分かりあえない

相手との会話の共通項が減った時、ああ自分は変わったんだなと実感する。

昔わたしはずっとダウナーな感じでひどい時には電車に乗れなかったり人に会えなかったりした。1週間に1回は自室に引きこもらないと具合が悪くなり、それでよく泣いてた。死にたかったし、自分には価値がないと思っていた。

就職するにあたりそれなりに覚悟を決めないといけないと思った。明るい人間になろう、いや、なれなくても公共の場に則した人格で振舞おうと決意した。

そしたらだんだん行動が性格に影響してきたのか、死にたい夜は依然としてあったけど、回数は減っていった。仕事を辞めたい、正社員のレールから脱線したら自殺しようと思ったりもしたけど。ちょっとずつ、変わっていった。

今でも、八方塞がりになったら死んでもいいルールは現存している。でも、そもそも死にたいと思わない。仕事に行きたくない日もそりゃあるけど、わたしがいないと進まない業務が増えたし、やりたいことを見出してそれを遂行したいという思いがあるから。休みの日に悶々とするより、職場に行って手を動かした方が気持ちが晴れる場合さえある。やりがいに生かされているのかもね。

そんな日々を過ごしていたら、わたしは死んでしまいたい、という友人たちの気持ちが分からなくなってしまった。昔はあれだけ共感できていたのにな。今の自分が、死にたいと思わなくなったのか、それよりも仕事に気持ちが向いているから気がついていないだけなのか、分からないけど。前向きな提案ならきっといくらでもできるけど、ただ、うんうん、と頷くことは至極難しいことになってしまった。

まるで仕事讃歌に聞こえるかもしれないが、そういうことを言いたいんじゃなくて。これからどうなるかなんてみんな分からないし。共通の話題がなくなったあの子たちと縁を切りたいとかではなくて、ただただ、もう分かりあえないかもしれないことを寂しく思う。