ドッペルゲンガー

新しい店長はよく喋る。あっけらかんとして、スタッフが多く出入りする事務所で面談をしている。導入は必ず、「あなたはどんな人ですか?」と決まっているようだ。わたしはすぐ隣で自分の仕事をしながら、面談を聞いていた。

 

わたしはどんな人か。さして何かに秀でている訳でもないわたしを、だれかに説明するのってとても難しい。というか、何にもない。

 

わたしは何者でもない、それは大きな穴の淵から奥底の暗がりを覗き込むような恐ろしさ。人間はそれぞれ唯一無二という。確かに個体としてはそうかもしれないが、わたしは唯一無二の個性なんてないと思ってる。マスメディア見て読んで育ってそれなりに社会性のある暮らししてたら、その人となりを形成する要素はありきたりなところに落ち着くと思うし。だから、その要素の集合体であるわたしの代わりなんていくらでもいると思う。

 

ずいぶん寂しい考え方だと思うんだろうか。そんなことないよ。だってわたしが唯一無二の存在だったら、誰かに対してわたしが生きたり死んだりすることに責任を持たないといけないでしょ?つまり、わたしじゃないと幸せにできない、みたいな人間が存在しちゃうかもしれないじゃないですか。それは考えてみるととてもしんどいことなんだよ。

 

わたしがもしいなくなっても、好きな人たちにはずっと幸せでいてほしいと思っていて。だから、自分以外の誰かに好きな人たちのことを幸せにしてもらいたい。それは(いまはいないけど)恋人や家族、友人…誰に対してもそう思う。自分がいなくてもちゃんとみんな幸せになってもらいたいから、ずっと代替可能な存在でいたい。

 

どうやったって、わたしはわたしの責任しか負えないのだ。それ以上のおんぶにだっこはいずれ死にたくなる。そうやって責任を逃れることで、今日も生き長らえている。

 

2月15日

久しぶりにちゃんと雨が降った気がする。煩わしいけど降らなきゃ降らないで不安になる不思議。だけど、雨に似合う曲の持ち合わせがないから、困った。

 

場所や気持ち、状況によって聴きたい音楽が、音楽聴く人ならそれぞれあると思う。鹿児島の海には王舟が合う。春になったらボブマーリーのレゲエで散歩する。一人暮らしの寂しさはカネコアヤノで紛らわせ、ハイエイタスカイヨーテの大きな愛で包まれる、のが最近の選曲。もっとあって、例をあげてはキリがないけど、だいたいiPhoneの容量で事足りちゃうくらいの狭い範囲。

 

そんな偏った趣味の中で気づいたことは、わたしは結構ジャズの要素がある音楽が好きということ。でも、ジャズって都会的じゃない?田舎に合う音楽ってなんだ。しかも雨だし。

 

ねえ、みんなは最近何聴いてるの?人の好きなものの話をきくのが好きだから、教えてよ。この前よねきが教えてくれたトーフビーツのプレイリストは良かったな。

 

わたしはというと、近頃は四人囃子の一触即発というアルバムをずっと聴いてる。これはあんまりどの情景にもヒットしないけど、すごくドキドキするよ。演奏はかっこいいのに詞がメルヘンで何だかかわいいんだ。

 

 

歳をとる

いま再びのブログがんばってみる!!!どん

 

突然なんだけど、わたし今年27歳になるんですね。もうアラサーに踏み込むの。一丁前に社会学部卒業したくせに、普通に今後の人生に焦りを感じているんですよ。

 

だって、ライフイベントのスタンプラリーが終わりそうにないから!!!!

 

まじで就職までは何とかなったが、その先の結婚・出産・親の死エトセトラ…全部スタンプ押せるのかしら。もうさわたしの人生空欄だらけだよ。これって空欄で提出しちゃだめなんですか。

 

さらに老い=悪を助長する言説の多いこと多いこと、、そして分かっているはずなのにそんなものに振り回される自分よ!

 

じゃあ若いことが正義か?そもそも若さが持て囃される理由を考えてみる。ある意味誰しもが最初に手にする強みなんだよね。

 

若い、は無知、弱さ、清純。大人になる、は見聞を広げ、ずる賢くなること。だとすれば、どんな大人になるかは今の選択の連続でしかない。その選択に自信がもてなければ、選択する必要のない若い自分の方が好きって思うのかな。選択の正しさが「人生スタンプ幾つ押してあるか」を判断基準に決まっちゃうなら、尚更やになっちゃうね。

 

でもわたしは、焦る気持ちもある一方で、昔より自分のことが好きになったよ。

 

学生の頃はもっと従順で素直だった自覚はある。でも、生意気だけど自分の考えを伝えられる今のわたしの方が好き。だから老いるのも悪くないかなーって思うようになった。わたしがどんな人間でいたいのかをちゃんと持ってれば、歳をとることはきっと怖くないよ。だんだん、大丈夫な気がしてくる。

 

なんでこんなこと書いたのかというと、わたし含めわたしの周りの大人たちが歳をとることにネガティブになってるように思えたから。

どうかあなたの向かう先を悲観しないでね。昔よりも今の方が素敵なのだよ〜気づいてほしいよ!という気持ちです。

 

本当はこういうのはお酒飲みながら話したいもんだなぁ。おわり